[20170311]vsベガルタ仙台~水を得た魚

ベガルタ仙台●(0-2)○ヴィッセル神戸

「プロに入って1年目から移籍したいとは思っていた。自分にボールが集まるサッカーをしてみたい気持ちはある」

昨年11月リーグ戦終了後、大森晃太郎がヴィッセルのオファーに対し記者に応えた言葉だ。
技術と理論的思考を持ちながら、ガンバ大阪では宇佐美や遠藤の影に隠れ上下を繰り返す汗かき役に甘んじていた。

ヴィッセル神戸に移籍して3試合目、チーム戦術として大森にボールを集めるということも、他の選手の意識にもないだろう。
しかし、大森はビルドアップにもゴール前のチャンスに絡む。
必ずと言っていい程に。
ゴール前、逆サイド、どこにでも顔を出す。
ガンバのときとは種類の異なるハードワークさを出している。
結果として大森に自然とボールが集まる。
これが大森の言う自分にボールが集まる状況なのかはわからないが、大森なしではヴィッセルの攻撃は成り立たないくらいの存在になっている。
そして大森を評価し引き抜いたネルシーニョの慧眼 (けいがん)は凄い。

試練

慶治朗がまたしても負傷。
また、しばらく離脱というか試練を余儀なくされた。
開幕2戦はベンチに入り途中出場、この試合ではスタメン。
攻撃人の選手層が厚くなっても慶治朗のスピードは重要なピースだった。
本人にとってもチーム、サポーターにとっても残念至極である。

4バック+1

今シーズンのベガルタ仙台は攻撃時はトップに5人を並べるシステムを採用している。
全体的な形は別として、前に5人が横に並ぶのはサンフレッチェ広島と浦和レッズにかなり近い。
守る側は外に張っている相手選手にボールが入ったときに速く寄せられるかが鍵となる。

ネルシーニョはヴィッセルは4バック+1で対応した。
昨シーズンに押し込まれている展開で逃げ切るときに使っていたシステム。
攻撃時はサイドハーフで守備ブロックは右サイドバックのさらに外に入る。
5人が横に並ぶ相手に対し4人で守るのは幅が足りないので5人が望ましいが、センターバックを3人にする3バック(5バック)では普段の4バックの戦術との差が大きく併用は難しい。
サイドハーフの選手が相手の左ウィングバックのケアを専門で行い、最終ラインの他の4人は4バックのときに近い動きをする。
5バックというより4バック+1の考え方。

大きく外に張っている選手にボールが入ると1対1の局面になることが多くなる。
対応する選手は速く寄せるスピードと粘り強い守備が必要になる。
そこで慶治朗のスタメンとなった。

信頼を勝ち取った松下佳貴

この試合でネルシーニョの大きな信頼を勝ち取ったのは松下佳貴だろう。

前半5分に慶治朗が負傷し最初に呼ばれたのはDAZNの配信映像を見る限りではフォワードの大槻周平だった。
この試合での右サイドハーフの特殊なタスクを練習していたのは慶治朗と松下と思われる。
慶治朗で行けるところまでいってガス欠したところで松下に替える想定もしていたはず。
にも関わらず、松下が最初に呼ばれなかった。
松下のスタミナを不安視し、右サイドハーフだけで交代カードを2枚使いたくなかったのだろう。

結局、ネルシーニョが怪訝な顔をして大槻はベンチに戻り、松下がピッチに入った。
そこで最終ラインのブロックの外に入る特殊なタスクをこなし、右サイドのビルドアップに貢献し、先制ゴールをアシストし、最後までピッチで走り続けた。
松下がこの試合で勝ち取った信頼は大きい。
しばらくは右のサイドハーフは松下で固定されるであろう。

前半、松下はゴール前の中央の大きなスペースができたときに右サイドから走り込みラストパスを呼び込んだ。
この決定的な場面で右足にヒットできなかった。
左足には精度とセンスを感じるが右足はおもちゃレベル。
左サイドでこそ松下の左足が活きるのだが、しばらくは右サイドでネルシーニョの要求に応えながら左足の活かし方を探ってほしい。

田中順也

評価を下げたのは田中順也。
前半終了でウエスクレイと交代となった。
そのウエスクレイは囲まれても粘ってボールを失わなかったところが大森の先制点につながっていて采配的中となった。

前節と違い渡邊千真を右、田中順也を左に配置した。
右サイドハーフが最終ラインのブロックに入るため、攻守が入れ替わったときに右サイドが手薄になる。
となると左サイドからのビルドアップし、フィニッシュは逆サイドもしくは中央になる形が増えると想定される。
渡邊千真のシュートチャンスを増やすために渡邊千真が右となった。

しかし、想定通りにはいかなかった。
右サイドが起点になることが多く、渡邊千真がクロスやラストパスを出す側になってしまった。
結果、前半のシュートは1本のみ。
左サイドが起点にならなかったのは田中順也にパスが入ったときに収められなかったことが大きい。
相手の最終ラインのプレッシャーが厳しいところで仕掛けたりボールをコントロールしたりするところが田中順也では弱かった。

1節の田中順也は落ちてきてパスを受ける場面が多かったが、レアンドロとの距離が遠くなってしまいレアンドロのシュートは0本。
前節とこの試合では渡邊千真との距離を保ち渡邊千真にシュートさせることと裏に抜けることを意識していた。
田中順也は中盤でのボール回しを助け試合をコントロールするような試合に活きるが、今のところ田中順也がそれをやるとシュートチャンスを多く作れないだろうし大森とも被ってしまう。

さいごに

次節のジュビロ磐田戦はトップ下の中村俊輔への対応が鍵となる。
この試合のように分かりやすく形から入るならば中盤を厚くする方法をとるかもしれない。
トップの1枚を下げるかアンカーを置くか。
マークを受け渡すか、マンマークとするか。
中村俊輔からのパスを封じるのか、中村俊輔に入るパスを封じるのか。
フォーメーションを変えず4-4-2のまま対応できるのがベストであるが、ネルシーニョはどんな策を講じるか。

(終わり)

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